4章「風姿」
続いて染織の森文香さんです。
文香さんが初めて出展くださったのが2007年。
その時から現在までの5年の間にゆっくりと感じてきたことを書かせていただきました。
人生の中で5年はけっして長い時間ではないかもしれませんが、
もの作る人として立って、歩が確かになっていくまでの5年は濃密なものかと思います。
作る人である前に、人としてどうあるのか。
人として進んでいくことと、ものを作ることがどう添っていけばいいのだろう。
文香さんは何も具体的なことや、特別な主張もされませんが、
5年を経て、私は文香さんにはいろんな大切なことをじんわり教わっているんだなぁ。
そんなことをあらためて思った取材でした。
心を澄ませて。
働くことが、生きていく姿を整える。
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山形で籠編みをする『kegoya』こと、熊谷茜さん。
楽器を奏でるような指使いで籠を編んでゆきます。
東京に生まれ育ち、林学の学びの先につながった山形での籠編み。
山形で出会ったおじいちゃん、おばあちゃんが茜さんの先生です。
それはもの作りだけではなくて、暮らしていくこと、生きていくことの上での
大切な学びを与えてくれた出会いでした。
おばあちゃんの手と心。
作ることは、生きていく中での自然な営み
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章の終わりは、大野八生さん。
工芸・クラフトの作り手ではなく、造園・イラストが八生さんのお仕事。
けれど、『工房からの風』のメインビジュアルを描いてくださり、
会場の一部『ニッケ鎮守の杜』のガーデナーもしてくださる
八生さんのことをぜひ綴りたかったのです。
あらためてお話を聞けば、初めて伺うことばかり!
二つの仕事を続けていくことの迷いを吹き払ってくれた
のが、イギリス人映画俳優だったというのには、驚きました。
そして、文字数の関係で書ききれなかったのですが、
そのやりとりを通訳してくれたのが、
戸田奈津子さんだったという贅沢なこと。
ほんとうに必要なことは、必ず巡ってくるのですね。
強く願えば。
幸福な花や果実は、
時と場と人とが出会い、姿を結ぶ
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さて、駆け足でご紹介をしてきました書籍
『工房からの風-作る働く・暮らす・生きる-20の工房を訪ねて』(アノニマ・スタジオ)
に登場いただいた作り手の方々。
お一人おひとりのストーリー、そして工房の風景、作品写真、
ぜひご覧いただければと思います。
そして、いよいよ明日からは、
今年の出展作家からのメッセージをお届けいたしましょう。